早く 早く 見つけなくちゃ


それしか希望が無いの


そうすれば赤也が戻って来てくれる、そんな気がするの



















『 白い手首に口付けを*** 』




















「赤也、昨日用事って言って一緒に帰れなかったじゃん?」


「おう、」


「用事って何だったの?」


「・・・お前、今それを聞くなよな。」


「何で?」


「まッ、いいか。、ちょっと公園寄ってくぜ!」


「うん?いいけど。」











公園に着くと赤也は四角い箱を取り出し私に差し出した。










「ほらよ、今日1ヶ月記念だろ?プレゼントだぜ。」


「え・・・?」


「昨日と帰るの止めたのはこのせいだったんだよ。」


「記念日覚えててくれたんだ?」


「当たり前じゃねぇーか。」


「開けていい?」


「おう、気に入るか解んねぇけど。」








私は赤也から箱を受け取って開けた。

中にはピンクの花が印象的な可愛いブレスレットだった。







「赤也・・・!!嬉しいよ!!」


に似合うと思ったんだよ。」






そう言って赤也は箱からブレスを取って私の手首にブレスを付けた。






「お前の手首って白いからよ、ピンクの花が似合ってんぜ!可愛いじゃねぇーか。」


「赤也が選んでくれたんだよね!絶対大事にする!!」


「おう、毎日付けろよな。」


「でも落としたら嫌だから大事にしまって置く!!」


「はぁ?お前付けてろって!!そのブレスは俺のものって印にすんだからよ!」


「印・・・?」



「お前と付き合う前、幸村先輩に取られるかと思ったんだぜ?だから付けろよな!
 
 ・・・俺のものって印!」



「幸村先輩なんて関係ないよ!!でも赤也の彼女っていう印かぁ。毎日付けるよ!!」







「おう。・・・、好きだぜ。」











そう言って私の腕を引き寄せ、赤也の腕の中へと連れて行く。











「・・・私も赤也が大好きだよ。」


「記念日おめでと。次の記念日もぜってぇ一緒に祝っぞ。」


「おめでとう。絶対、祝おうね。」







赤也の顔が近付き私の唇へそっと触れた。









このブレス絶対大事にする。

だって

赤也の彼女っていう印なんだから。




















次の日も次の日も私の手首にはブレスが輝いていた。








、」


「なに?」


「何でもねぇ。」


「なに!ちゃんと言いなよね!」


「違っげーよ。ただ・・・そのブレス」


「え?」


に似合いすぎだっつてんだよ!」


「あははっ 赤也、そんなに照れて言わなくてもいいじゃん♪」


「照れてねぇーよ。うっせーな!」


「あはははっ」










赤也はそれを見る度嬉しそうに笑った。













そんなゆっくりと流れていく日々。

・・・まさか全て壊れるなんて気付きもしなかったんだ。













その日

私は遅刻しそうになって急いで学校まで走っていた。

でもブレスは欠かさず付けている。

寝るときから付けているからだ。




・・・だって赤也の彼女っていう印、ずっと付けていたいから。












走りに走って

チャイムと同時に滑り込みセーフな感じだった。










席についていつものよう私はブレスを眺めようとした。

けど、いつも手首で光っているはずのブレスが見当たらない。












来るときはあった。確かに。


・・・走ってる最中に落としたのかもしれない。














私は気が気じゃなくて放果も学校を抜け出して探したり

朝通った所を何度も何度も探した。






それでもブレスは出てきてくれなかった。
















そんな事をお構いなしに赤也と帰る時間になる。








、帰っぞ。」


「・・・うん」


「・・・お前、ブレス付けてねぇーのか。。。」


「違っ!!その、今日は遅刻しそうで忘れちゃったの。だからそのごめんね!!!」


「ったくしょうがねぇーな。今日は許してやる。」


「・・・ありがと」


「確かに今日のお前の滑り込みは見事だったぜ!」


「そ、そうだね。・・・・・わっ」








赤也は私の腕を急に引き寄せた。

そして上から私の顔を心配そうに覗き込む。








、体調悪りぃーのか?元気ねぇーし。」


「ち、違うよ!平気!ありがとね、心配してくれて・・・」


「ならいいけどよ、まだ寒みぃし、気をつけろよな?」


「ほんと・・・ありがと・・・・」











・・・赤也の優しさを裏切っているようでどうしようもなく辛かった。










赤也と別れると私はこっそり学校へ戻り、再び探した。

何度も何度も行き来したけど出てくることはなかった。
















次の日も

私は朝早く学校へ来て探す。












外の通路を探していると

赤也の先輩である幸村先輩に話し掛けられた。














おはよう。こんな朝早くから何をしているの?」


「おはようございます。いえ、ちょっと探し物を。。。」


「どんなの?俺も手が空いたら探すよ。」



「いえ、いいんです。でももし、花の飾りが付いたブレスを見つけたら

 教えていただけませんか?見かけたらでいいので。」



「うん、解ったよ。・・・赤也とは上手くいっている?」


「・・・・はい。。。」


「そう、なら良かった。それじゃあね。」


「・・・さようなら。」












は話が終わるとすぐ探しに行った。

幸村はその姿を目で追いながら地面に目をやった。

そこには輝きながら光を放つブレスレットが落ちていた。









の言ってた花のブレスって、、、」








それを拾うとジャージのポケットへとしまう。

・・・そういえば赤也が、ブレスレットを記念日にあげたとか言ってたよな。







「・・・、可哀想に。ブレスレットは出てこないよ?」







幸村は黒い笑みを浮かべるとその場を去っていった。

















朝も見つかることは無く時間が過ぎて行く。

・・・流石に今日も付けてないと怪しいよね。もう素直に言うしかないかなぁ。












今日の帰りは部活が長引いたらしく、私は教室で待っている。

探し回っても出てくることは無く、打ち明けようと思ったのだ。









そしてボーっとしながら手すりに持たれ、窓の外を覗いていた。

・・・無くしたなんて言ったら赤也怒るかな?それとも嫌われちゃうかな。。。まさかね。。。











そんな事を考えながら赤也を待っていた。


















「赤也、」


「あ、先輩、お疲れッス。」


「お疲れ。ねぇ・・・赤也、と別れた方がいいんじゃない?」







部活が終わると幸村は赤也へと話し出した。








「は・・?先輩、まだのこと諦めてないんスか?」


「違うよ。俺はに頼まれただけだよ。」


が・・・?」


「これを赤也に返してってね。もういらないんだって。」








幸村の手には鎖が切れているが確かにあのブレスレットがあった。








「・・・っ!!んで先輩が持ってんスか・・・・」


「だから、が赤也に返してといてって頼んできたんだよ。」


「そんなことあり得ねぇー!」








そう言って幸村の手にあるブレスレットを強引に奪う。

そんな赤也に笑みを浮かべ








「上手くいっていないでしょ?」


「そんな事ねぇ!」


「そう?最近、の様子がおかしいとは思わない?」


「・・・・っ!!」


「・・・図星って顔だね。ほら、俺はちゃんとブレス返したからね。それじゃ。」







言い終わると幸村は去っていく。









「・・・・・





















そんな事も知らずは相変わらず外をボンヤリと眺めていた。

・・・赤也遅いなぁー。。。














「・・・きゃぁっ」


いきなり後ろから切原がの腕を引っ張ったのだ。












「赤也・・・?・・・やぁっ」


の腕を引っ張ると放し、両肩を掴み強引に机へと押し倒した。

切原はを押さえつけ上から見下ろす。













!」


「赤也・・・?どしたの・・・・?」












切原の目つきは鋭く、怒り溢れた表情でを睨む。













「お前、幸村先輩がいいのかよ!っざっけんな!」


「何のこと・・・・んぅッ・・・赤・・・也っ・・・んッ・・」













の話も聞かず赤也の唇が強引に塞いだ。

いきなり舌を忍ばせ強引にの舌と絡ませる。












「・・・・んぅッ・・赤・・・っ・・・也ッ・・んん・・・・ッ・・・」











赤也はの胸元の制服を強引に開き、首筋へと吸い付いていく。










「やぁ・・・!・・・赤也・・・なん・・で・・・んッ・・・・っ」










行為を中断し、上からを睨む。










「お前、ブレス持ってねぇくせに嘘付いてんじゃねぇーよ」



「違っ!!その今日言うつもりで・・・」



「幸村先輩がいいってか?」



「何で幸村先輩が出てくるの・・・!?」



「・・・お前なんかいらねぇーよ!」



「ちょっと待って!何言ってるの!?」



「もう・・・俺たち終わりだ」



「待って!!赤也・・・!??」



「・・・別れよ。」



「そんなの嫌だよ!ちょっと待って赤也!!」



「じゃあな。」











そう言う赤也の足が出口へと向かっていく。










「待って赤也・・・!!嫌だよ!!赤也ぁ!!」










の問い掛けも返って来ず赤也はそのまま出て行ってしまった。











「赤也・・・?・・・ッ・・・・うっ・・・ッ」











はその場で泣き崩れ地面へしゃがみ込む。










「・・・うッ・・・ふぇ・・・・ッ・・・・」











そこへ幸村がやってきた。

ゆっくりと近付きの乱れた制服を整えながら











、そんなに辛いなら俺にしなよ。俺なら、こんな乱暴しないよ?」











整え終わると泣きじゃくるを幸村が抱き締める。










「ほら泣かないで。辛かったら止めて俺にすればいいよ。」


「ふぇ・・・ッ・・・ヤダ・・・赤也じゃなきゃ・・・いやぁー・・・」


「・・・そう。。。」










力の入らないを泣き止むまでそのままぎゅうっと抱き締めた。










は泣き止むと幸村の腕を解き、真剣な顔で見つめ









「幸村先輩が何言ったか知りませんけど、私赤也じゃないとダメなんです。」


「・・・そう。また泣かされたら、俺はいつでも待ってるよ。」


「それはないと思います。さようなら。」










そしては教室を勢いよく出て行く。









ウジウジしてても赤也と戻れるわけじゃない。

ブレス見つけて、私の気持ち解ってもらいに行かなくちゃ。










私は早く見つけたくて同じ場所を何度も何度も探した。

見つからなくてもひたすら探し続ける。










外はとっくに暗くなり、10時を回っていた。

・・・もうこんな時間か、、、でも見つけるまで帰らない。

帰っても何したらいいか解らないし。











そしてひたすら探し続ける。

冷え込む夜にも負けずに。















早く 早く 見つけなくちゃ


それしか希望が無い


そうすれば赤也が戻って来てくれる、そんな気がする















「きゃぁッ」


そんな時後ろから肩を掴まれた。

そこにはスーツを着たおじさんが立っている。













「お嬢ちゃんおじさんと遊ばなーい?」


「や、無理です!放して下さい。」


「いーじゃんちょっとくらいー」


「ヤダってば!!」















「痛たたたたッ・・・!!」










おじさんの手がの肩から放れ、その手首を赤也が掴んでいた。











「テメェー消えな。」


「わわわ、解ったから・・・!!」











赤也は手を放すとおじさんはすばやく逃げていった。















「赤也・・・?」


一番会いたかった人の姿があった。














!」







呼ぶ声と同時にの身体引き寄せ、赤也の身体がすっぽりと包み込む。













「お前こんな時間に何やってんだよ!危ねぇーだろが!」













の身体を締め付けるように抱き締める。










「さっきは悪かった。・・・もっとのこと信じるべきだったな。」



「赤也、私のこと嫌いになってない・・・?」



「・・・バーカ。なろうと思ってもなれねぇーよ。」



「良かった・・・うッ・・・ッ私嫌われたかと・・・思っ・・・ッて!!」



「お前ッ・・・!!」










泣き出すを慌てて放し、愛しそうに微笑みながら服の袖で涙を拭う。









「頼むから泣き止めよ?・・・なッ?」


「・・・うん。」


のことどうしようもねぇーくらい好きなんだからよ。」


「・・・うぅー・・・ッ・・・」


「お前ッ・・・もっと泣いてどうすんだよ!・・・って泣かせちまったの俺か。」










赤也はが泣き止むまで頭を優しく撫でる。

そしては泣き止み話し出す。









「赤也、ブレスレット無くしたの黙っててごめんね。」


「・・・そういうことか。」


「・・・? ずっと探したけど見つからなかった。折角くれたのに・・・本当ごめんね。」


、ブレス俺が持ってんだよ。」


「え?」










赤也はポケットから鎖の切れているブレスを取り出し見せる。










「何で赤也が持ってるの!?」


「お前・・・・鈍感。幸村先輩が仕組んだに決まってんだろーが!」


「あ、そういうことか。」


「ったくは・・・いつか奪われそうで怖ぇーな。」










静かに呟くと再びぎゅうっと抱き締める。







「赤也、私は赤也じゃないとダメだよ?」


「俺もじゃねぇーと駄目だ。ずっと側に居ろよな。」


「うん!でもブレス切れちゃったんだね。」


「直すから待ってろよ!」


「ありがとう!!それまで赤也のものって印が無しだぁ。。。」


「・・・俺のものっていうブレス、付けてやるよ。」


「え?」










赤也はの手を持ち上げ、の白い手首に口付けをした。

何度も吸い付き、白い手首にピンクの花が咲かせていく。










「直るまではこれが俺のっていうブレスだかんな!」


「赤也・・・大事にするね!!このブレス!!」


「おう!無くすなよ!」


「あはは 無くしようがないから大丈夫ッ」


「無くしても俺がまた付けてやるぜ。」


「それは頼もしいね♪」


、」


「なに?」







「・・・愛してる。」


「赤也・・・私も愛してる。」








先程、の白い手首に口付けた唇が、の唇へと口付けた。










赤也、もう無くさないからね。










直って私の元へ戻ってきたブレス。

赤也がくれたもう一つのブレスレットはまだ花が消えていない。




私の手首には花の付いたブレスレットが二つ、輝きを放っていた。











Fin***


silent star 跡部未菜様の企画 100のお題へと参加させて頂き、とても光栄に思っています。

100曲マラソンへ参加した身として是非参加したいと思い参加させて頂きました。

赤也夢・・・こんなのになってしまいましたが読んで下さった方、ありがとうございました。

*Happy*Room*
藍川優芽