どうしても行きたいケーキ専門店
凄く美味しいのよ
薫に一緒に行こうと誘っても
断られるばかり
だけど今日は行きたいの
限定ケーキを食べるために!
しかたない、桃ちゃんでも誘おうかしら
■素直になれない■
「薫、今日帰りにケーキ食べてきたいんだけど…。」
「断る。」
「この近くにケーキ専門店が…。」
「断る。」
ただ今、彼氏の薫に振られちゃいました。
って、即答で断るっのは酷いじゃない!!
「えー何で!?」
「…。」
「ね、行こうよ〜!」
「…フン、誰が行くか。」
「カッコイイぞ、この野朗!!」
「いきなり話を変えるんじゃねぇ!!」
まったく、薫はいつでも素っ気無いんだから〜。
そこがまた良いんだけどね!
薫と私はあまりデートとか出かけたりしない。
今みたいに断られちゃうからね。
顔を赤くして不機嫌になる。
私にはさっぱりわからないわ。
けど、どうしてもケーキを食べたい。
あそこのケーキ、凄い美味しいのよ!
しかも今日限定ケーキがあるの。
こりゃもう大食いの私が行くしかないわよね。
でも、薫…行くって言いそうにないしな…。
「…あー…桃ちゃんでも誘って行こうかな?」
「っ!?」
あ、声に出ちゃった。
けど、桃ちゃんなら一緒に行ってくれそうだしね。
大食い勝負になって破産しそうだけど。
私がそんな事を考えていると、薫が私の腕をいきなり掴んできた。
キャッ……って、喜んでいる場合じゃなわね。
驚いて顔を上げると、薫は怒った表情で眉間に皺を寄せていた。
「薫?」
「…。」
「眉間に皺寄せちゃって…どうしたの?」
「…。」
「おーい、聞こえてる?」
「…。」
「…もう!薫ってば!!」
「っ!?」
何回言っても反応しないから大きい声で呼んだ。
すると薫は驚いて、すぐに私を掴んでいた手をパッと離す。
うーん、嬉しいような嬉しくないような…。
もっと掴んでおいてほしかったかも。
手を話した後も何も反応しない薫。
一体どうしたんだろう?
って、ああああああああ!?
やばい、もうすぐ17時30分になってしまう!!
私が食べたいケーキ、それは『苺たっぷり!ミラクルケーキ』!
このケーキは17時30分までしか受付してくれないのよ。
現在17時20分。
「私、もう行くからね!」
「なっ!?ちょ…!!」
私は全力で走り出した。
薫が何か叫んでいたけど、もう私の耳には届かない。
ただ只管、店へ向かって行った。
途中で会った桃ちゃんとリョーマを連行しながら。
あの後桃ちゃん達を連行してやってきた店。
私は鼻歌を歌いながらメニューを開けた。
「…お前いきなりすぎるだろ。」
「いいじゃないの、どうせ暇じゃん。」
「何気に酷いな。」
「俺は暇じゃないッスよ。」
「リョーマはどうせゲームでしょ。」
「うっ…。」
やっぱり言い返せないのね。
ゲームばかりしてちゃ駄目よ?
桃ちゃんは絶対暇だわ、これだけはわかる。
「俺さ…金あんまりねぇんだけど…。」
「俺もッスよ。」
「大丈夫、桃ちゃんの奢りだから♪」
「はぁ!?何言って…!!」
「なら良いッス。」
「お前までの味方すんなよ!!」
リョーマならそう言うと思ったわ。
桃ちゃん、悪いけど奢ってもらうからね♪
私がニコニコ笑っていると、桃ちゃんも諦めて奢ると認めた。
さっすが桃ちゃん、こういう時だけ頼りになるわ〜。
「で、は何を食べるんだ?」
「私はこの『苺たっぷり!ミラクルケーキ』よ。」
「お、美味そうじゃん。俺もそれにしよっと。」
「俺はファンタで。」
「ないわよ。」「ねぇよ。」
リョーマ、ここはケーキ専門店だよ。
ファミレスじゃないんだからね。
ブツブツと文句を言いながら、ショートケーキに決めたリョーマ。
そんなにファンタが飲みたかったのか。
販売機で買って来なさい。
リョーマが決めた後、お店の人にケーキを注文した。
混んでなかったので、すぐに持ってこられたケーキ。
お、美味しそう…!!
桃ちゃんとリョーマは『苺たっぷり!ミラクルケーキ』を見て、目を開けた。
「で、でかっ!!」
「先輩…まさか、これ…。」
「『苺たっぷり!ミラクルケーキ』よ。」
「す、すげぇ…。」
「俺のショートケーキの100倍はあるんスけど…。」
名前通り苺たっぷりでしょ?
ふふっ、ここのケーキ凄く美味しいから大きいと嬉しいのよね〜。
しかもこの大きさ…最高じゃない!!
「さーて、食べるわよ!」
「マジッスか!?ちょ、桃先輩!止めてくださいよ!」
「よーし、…俺と勝負だーッ!!」
「止めるどころか、何言ってんスか!!」
ふふっ、やっぱり桃ちゃんなら言うと思った♪
でも、私は絶対負けないからね!!
そして、止める事を諦めたリョーマの合図で勝負は始まった。
「あー食べた食べた♪」
「クッ…勝負に夢中で、金のこと忘れてた…。」
「俺、ちゃんと止めましたよ。自業自得ッス。オマケに負けるなんてダサいッス。」
はっはっはっはっはー!!
勝ったわ、勝ったわよー!!
流石の桃ちゃんでも私の大食いには勝てなかったわね。
実は『苺たっぷり!ミラクルケーキ』は1個1万円するのよ。
今日でお小遣いが無くなると思ったけど…桃ちゃんが居てくれ
て助かったわ!!
今度も連れて来よう。
「…おい。」
私がそんなことを思っていたら、後ろから低い声が聞こえた。
反射的に後ろを向くと、そこには先に帰ったはずのあの人。
「え…薫?」
「…。」
「もしかして、待っててくれたの?」
「…。」
いやん、そんな熱い視線を向けないで☆
…と言いたいところだけど、向けられている視線は私じゃないのよね。
薫の視線は、リョーマと桃ちゃん。
凄い目付きで二人を睨んでいる。
うーん…もしかして喧嘩中だったのかな?
とりあえず引き離した方が良いよね。
「ふふっ…じゃあ、帰ろうか。」
ニッコリ微笑んで言うと、薫は睨むのを止めて歩き出した。
良かった〜喧嘩が始まらなくて。
「桃ちゃんにリョーマ。またね〜!!」
私は二人に手を振って別れを告げた。
スタスタと歩き続ける薫を追いかけて。
「海堂…わかりやすい奴だな。」
「嫉妬丸出しだったスね。」
「ああ…は気づいてないし…。」
「…まだまだだね。」
「薫〜待っててくれてありがとう!」
「…フン。」
私がお礼を言うと、薫はそっぽ向きながら答えた。
薫らしい返事の仕方だわ。
でもまさか待っていてくれるなんて…本当に嬉しい!
うん、愛を感じるわ!!
「…おい。」
「ん?」
私が首を傾げて聞き返すと、薫は顔を赤く染めながら言った。
「こ、今度行くときは…付き合ってやる。」
「っ!?」
一瞬…何を言われたか、わからなかった。
嬉しさと驚きで、目を開ける。
今まで何回も誘った。
そりゃもうストーカーのように毎日誘ってたわ。
全部断られたけどね。
でも今…付き合ってくれると言ってくれた。
「え、本当…っ!?」
「…嘘は言わねぇ。」
「やったー!!じゃあ今度行くときも、桃ちゃん達と一緒に…。」
「アイツ等は誘うんじゃねぇっ!!」
「え、何で?」
「…。」
え…何でかしら?
だって桃ちゃん達と行ったら、お金浮くよ?
真面目にわからないわ…。
…あ、そういえば桃ちゃん達と喧嘩中だったわね。
気まずいのかも。
う〜ん、だったら仕方ないわ。
「わかったよ。じゃあ二人っきりで行こうね!」
ニコッと微笑むと、薫はそっぽ向いて頷いた。
薫の顔が赤く見えるのは、きっと夕日のせいだと思うけどね。
私も薫と二人っきり方が楽しいだろうし!
「はい、あ〜んして?」とか、やってみたいしね!!<
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…きっとやってくれないだろうけど。
「……・…手。」
「え?」
「……手、出せよ。」
「!!」
その言葉に反応して、すぐに手を繋いだ。
こういう行動をする薫も初めて。
薫はなかなか今みたいに素直なってくれない。
普段だったら目さえ合わせてくれない時もある。
無理やり合わしたら、「お、俺と目を合わすんじゃねぇっ!!」と顔を真っ赤にして激
怒される。
しかもその後、私を置いて走っていくのよ。
流石にこの時は、本当に私は彼女なのだろうかと思ってしまった。
だから…手を繋ぐという行為は、凄く貴重だと思う。
しっかりと放れないように私の手を掴んでくれる。
ギュッと掴んでくれる手を見て、私は思わず微笑む。
また一つ、薫に近づけて嬉しかった。
あとがき
途中、海堂からはずれてしまってしまいました(汗
海堂は恥ずかしがっているだけの夢に見えるのは気のせいにして下さい。
初企画提出する夢小説で、書くのに戸惑った点もあったり(ぇ
でも、私の好きなギャグを入れられて良かったと思います。
跡部未菜様、企画に参加させていただいてありがとうございました!
背景素材「karinko<
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企画「silent star
」
2008/6/15【最終修正日】