ミーンミーン、と
少しうるさいセミの声が聞こえる。
ふとしたときに指先が触れて
「俺が強かった」
そう言っていつものように貴一は頭の弱い発言をして自信満々に相手を見下ろしていた
『相変わらず馬鹿だなぁ・・・』
そんな君も可愛いんだけど。
何故かあたしは頭の弱い、というより頭の悪い子が好きなようだ。
何だかよくわからないのだけど可愛い。
だってそうじゃなければ貴一を好きになったりなんかするはずがないのだから。
「おい!唯見てたか!?俺のカッコいいとこ!」
おいおい、自分でカッコいいとか言い出しちゃったよ、この子
『・・・カッコいい、っていうよりかは、馬鹿っぽくて可愛かった』
そう言って笑うアタシにふくれつらで貴一が講義する。
「なんでだよ!かっこよかったじゃねえか。大体可愛いってなんだよ!」
あれ?馬鹿は拒否しないのか?
『だって。可愛かったんだもん。貴一は可愛い』
とりあえずもう、笑うしかなかった。
だってほんとにかわいかったんだし。
「なんだよ・・・って、うわッ」
つっかかってこようとした時に、貴一の体が傾いた。
どうやら石につまずいたらしい。
どこまで馬鹿なんだろう。でも、そこも可愛い。
『ほら、馬鹿なことばっかしてるからだよ。』
つぶやきながらも貴一の体を軽く手で支える。
「Σなななな・・・何で受け止めるんだよ馬鹿!!」
そんな真っ赤になりながら叫ばれても。
『だって。貴一が転んだから』
ふとしたときに触れた指先
そこからかんじられるのは愛しいあの子の熱
「う...うるせぇよ!馬鹿にすんな!」
『あはは♪真っ赤になりながら言ったって、おもしろいだけだよ』
「な゛・・・ッ」
何度も何度もりんご、というよりトマトに近い真っ赤な顔をする
『トマトみたい』
「・・・・普通は林檎とか表現すべきだ」
真っ赤なのは認めるんだ?
『ねぇ。トマトってなんでラブアップルって言われるか知ってる?』
それはね
『好きな相手に真っ赤になったときの顔が、トマトみたいな色だからだよ』
ラブアップル
「!?」
そう、真っ赤になった真っ赤な顔みたいに
好きな相手をおもって色づくの。
『私は顔には出さないけど、結構トマトなのかもよ?貴一は顔に出やすいけど』
「お前、それって・・・ッ」
大好きを伝えようよ、
指先から伝わる熱で
愛を伝える手段は、顔を赤くすること
『ふふ、大好きだよ?貴一』
真っ赤になりながら私の指先をつかんだ貴方の指先は、とっても熱かった
「俺もすきだ」
*********
あとがき
silent star様の御代、ふとしたときに指先が触れて、でした。
九鬼の夢小説なんてもしかして書いたの初めてじゃないか?(笑)
好きな子の前では自身満々な九鬼も少しおとなしくなるんだとおもいます。