窓から風が入ってくると君の髪が揺れて、君の香りがした。
斜め後ろの席からだと君の顔が見えるんだよ。
ずっと、気になって授業が頭に入らない。
君のせいだよ、なんてちょっと笑っちゃうよね。
高校の入学式に一目ぼれして、外部生だった私はなかなか勇気がでなかった。
「宍戸くんってカッコいいよね」
同じ中学だった友達に入学式の最中にそう呟いた。
「、惚れたな?」
「かもね」
中学テニス―しかも氷帝で有名だった彼は都内の中学には名が知れ渡っていた。
その時から私の恋は始まった。
でも、なかなか言えなくてせっかく同じクラスになったのに半年以上経ってしまった頃。
「ずっと好きでした」
その言葉を言ったのは私じゃなくて亮だった。
嬉しくて嬉しくて、
「私も」
としか、言えないほど胸がいっぱいいっぱいになった。
あれから一ヶ月。
教室の斜め前の席には亮がいる。
「亮、今日はクラブある?」
「今日はねぇな」
「じゃあ、帰りはどこか行けるね」
「そうだな、久しぶりだからなんか奢ってやるよ」
「ううん、いいよ。亮と一緒にいれるだけでいい」
「ハハッそうか、俺も」
「うん」
幸せな時間が経っていくのが惜しくて惜しい。
ずっとこのまま幸せでいたいと願う。
放課後、私が屋上に行きたいと言い出してそれに亮は付き合ってくれた。
「んー青春だっ!!」
「木枯らしの中、何が青春だよ」
「いーのっ!丁度一ヶ月前に亮が私に好きって言ってくれた場所だから」
本当に嬉しくてたまらなかった。
こんな風になるなんて想像もしていなかった。
「サラリと俺が照れること言うなよ」
「照れちゃって、かーわいいっ」
「・・・の方がかわいいぜ?」
「っっ、照れる・・・な」
いざ私が言われると照れてしまう。
亮は結構恥ずかしがりなクセに、たまにサラッて色々言っちゃうから不意打ちでやられる。
「そういえば、はまだ俺のコト好きとか言ってねぇよな?」
「そうだっけ?」
本当はいっぱい好きって言いたいけれど、照れちゃって言えないだけだけど。
「そう」
「んーじゃあ、キスしてくれたら」
「なっ」
「だって、亮はキスしてくれないじゃん」
「わかったよ、目瞑れよ?」
ほんのちょっと赤くなる亮が愛おしい。
少しの幸せを唇で感じる。
「ふふっ耳かして?」
素直な亮の耳元でこうやって囁く。
「亮のコト好き、愛してる」
その言葉はとてもとても大切にしてね。
なかなか勇気の出ない素直じゃない私には言いにくい言葉だから。
素直に言ってはあげないけれど
好きはあなたにだけ捧げるからね
silent star様に提出(080531執筆
企画に参加させて頂きありがとうございました。