藍色の空には瞬く星の数々。
不自然なほど綺麗な空。
冷たい風が吹き抜けるけど、そんな事気にならないほど私の心は暖かかった。

「好きだよ」

と、どちらともなく呟いた言葉が心地よく耳に響く。
この時がずっと続けばいいのに、と切に願った。



†夜の名残を探して†


ゆっくりと重たい瞼を開くと、明るい光が私の体に降り注いでいた。
(夢、か)
と心の中で呟くと両目を覆うようにして置いていた右手を目から離す。

再び瞼を閉じると、寝転んだままで心の中で考えていた。
あれは果たして本当に夢だったのか、と。
それは夢にしてはあまりに繊細な記憶過ぎるように思えた。
そしてこんな事を考えていても意味がない、とも思った。

パチリと瞳を開き、私はそのままムクリと起き上がった。
すると腕に違和感を感じる。
それに何故だが普段より布団が暖かい。
頭にハテナマークを浮かべて手のほうを見ると、そこには夢の中でみた愛しい人がいた。

「精、市…?」

何故ここに彼がいるんだろう、と自らの心に問いかけるまでもなく、先程の夢の中の出来事をフラッシュした。
それは夢の中の話なんかではなかったのだ。

(綺麗な寝顔…)

私も初めて見る、精市のもう1つの顔を見たような気がした。
余りの珍しさにじーっと彼の寝顔を見続けていると、いつから目を醒ましていたのか、彼がその双眸を開いた。

「おはよう、
「お、おはよ」

別に悪いことをしていた訳でもないのに恥ずかしくて目を逸らしてしまった。

「ね、精市。…いつから起きてたの…?」
「今さっきだよ」

ニッコリ笑ってサラリと流されて、その言葉の胡散臭さに私は思わず変な顔を浮かべてしまった。

「なに、その顔は」
「べ、別に?」

そう言いながら咄嗟に顔を逸らした。
不覚にも精市の表情にドキッとしてしまった事を悔しいと感じながら。

、こっち向いて?」
「なによ…!」

くそ、という言葉が語尾に付きそうなくらい勢いをつけて叫びながら振り向いたら、いきなり目の前に精市の顔が見えた。
そして勢いは収まらぬままその唇に自身のそれが当たってしまったのだ。

「…!」
「フフ…、おはよ、

クスリ、とワンクッションを置いて呟かれると私は余計に恥ずかしくなった。

(ふ、不覚…っ)

だけど、嫌ではなかったと、そう思う。
悔しいけど私の敗けだ。

「…おはよ」

聞こえないくらいの小さな声でぼそりと呟くと、彼はフフ、と笑った。
きっと、彼には聞こえていたんだろう。

もう何でも構わない、とそう思った。
私の敗けでいいや、と。
今が幸せならそれでいいや、と。


夜の名残を探して
眩しい光を見つけた。

キラキラと輝く光に。




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