「、いい加減勘弁してくれへんか?」
 「いや。」
 「そない言わんと。」
 「もう、知らない!」
 「あ、・・・!」



 ああ、又だ・・・いつも笑顔で居たいのに、いつも私が意地を張っちゃって・・・と思ち落ち込むのは、。忍足の恋人。


 〜♪〜〜


 の携帯が鳴った。
 「もしもし・・・。」相手は忍足。テニス部の練習の合間を取って、に電話をしてきたらしい。
 『まだ、怒っとるんか? ほんま、悪かったって! なぁ』プツン。ここでが電話を切った。


そもそもは、忍足が、教室から部室に行く間に交わした友達との会話が原因であった。






           意地っ張りの恋心





 
 「チャイナドレスのウェイトレスやて?」忍足が友達のこの切り出しに、飛びついた。
 「すっげー美人でさ、スタイル抜群! チャイナのあのスリットからこれまた綺麗な足が凄くてさ♪ なぁ、今度一緒に行かないか?」
 「スリットから足が見える・・・か。それもええなぁ・・・。」
 「だろ!? お前の彼女も可愛いけどさ、ちょっと大人の魅力ってのも新鮮だぜ?」
 「せやけど、俺はで満足やから、遠慮しとくわ。」
 「そー言うなよー。今度友達連れて来るって言っちゃったんだよ〜〜、友達になりたくて。」
 「あほか。」
 「それでも良い! な、頼む!! 勿論、には黙っとくから!」
 「当たり前や!」
 「って事は、行ってくれるのか??」
 

 「ふーーーーーーん。行くんだ。」忍足の背後から、が会話に入って来た。
 「!! 聞いていたのか!?」忍足の友達が驚く。

 「うん。」が満面の笑顔で答えた。
 「、俺は、別に行くとは言って」忍足が弁解しようとするが、「行って来れば? たまには、綺麗な脚でも眺めて、リフレッシュすれば?」
  はそう言うと、小走りで校門へ行った。



 そして、冒頭の会話に戻る。




 家。


 「はぁ・・・。・・・チャイナドレス・・・ねぇ・・・。侑士が好きそう・・・。」がベッドにゴロンと横になった。
 そして、うつらうつらと眠りに入っていった。




 「。」
 「おーい、。」
 「ちゃーん。」


 「・・・・ん・・・何・・・? お母さ・・・ん・・・。」がもぞもぞと毛布に包まった。起きるつもりはないらしい。


 「、そないな顔してると、キスするで?」
 「・・・はぁ・・・? もぅ・・・うるさ」

 の唇が、温かい『何か』に触れた。
 「!?」>が目を覚ました。目の前にどアップの忍足。


 「きゃっ!! え!? 侑士・・・!! あれ!? 練習は!?」があたふたして起き上がった。
 「練習? 早退して来た。」忍足がの隣に座った。

 「え!? 早退!? ってどこか不調なの!?」が真顔で忍足に聞いた。
 「ほんま、は優しいな。俺の事、真剣に考えてくれて・・・。」忍足がにキスをした。
 「!!」
 「不調なんや。」
 「え!?」
 

 「の事がめっちゃ好き過ぎて、テニスが出来ん程に・・・や。」忍足が再びにキスをした。
 「ち、ちょっと!! 何!? その理由!?」
 「何って、俺の素直な気持ちや。」忍足が笑みを浮かべて言った。


 「なぁ、。俺の事、どのくらい好きや?」突然忍足がに聞いた。
 「は? どのくらいって・・・!」の顔がみるみる赤くなっていく。


 「別に・・・言わなくても・・・分かってるでしょ・・・。」小さくが呟く。
 「言って欲しいんや、今。」忍足がの手をぎゅっと握った。

 「侑士っ、もう、からかわないでよ・・・!」忍足から視線をそらす
 「俺は真面目や。」忍足は、そう言い、の手を握っていいない方の手で、の顔を自分に向けた。


 「〜〜〜っ」逃げ場をなくしたは、観念した。


 「凄く好き。」


 ぶっきらぼうにが呟いた。
 「どれくらい凄く?」
 「どれくらいって、凄くは凄く! それ以上ないってば!!」
 
 忍足がを抱き締めた。


 「嬉しい。」の耳元で囁く忍足の声に、はドキドキした。鼓動が、忍足に聞こえないか不安になる程・・・。


 「俺も、めっちゃ好きや。せやから、俺から逃げんでくれ。」を抱き締める忍足のうでに力がこもった。
 「侑士こそ・・・他の人の・・・その・・・・ううん、何でもない。」
 「他の女が気になる事はあらへんで。俺の頭の中は、で一杯やから。」

 そして二人はキスを重ねる・・・。



 
 もうちょっと素直にならなきゃ、と思うであった。