「補習…?水泳の?」


私はその質問に大きくうなずいた。


彼は驚いた表情を見せる。


「そんなに驚かなくてもいいじゃない。」


私は急に恥ずかしくなってきた。


「いや、だってあんなに運動ができるから意外だなと思って…」


そう、私は体育の成績だけは秀一郎に勝っている。


だから驚くのも無理はないと思う。


「なんで、水泳だけ…」


秀一郎はすかさず聞いてきたが 私は理由を誰にも言いたくなかったので


「いろいろあったのっ」


とだけ言った。


「それよりも補習よ!補習!!どうしよう… 先生付きっきりだからごまかせないし…。 ってか顔もろくに水に着けれないのに…」

「そっか、そっからなのか…」


完全に混乱して取り乱していた私の言葉を遮ったのは 秀一郎の苦笑しながら言った言葉だった。



「で?補習はいつから?」


突然の質問に驚いてしまって私は一瞬固まりかけた。


「えっと、夏休み入って一週間後から。」


そういうと秀一郎は何かを考え始めた。



「学校が終わるまであと一週間…ということは あと二週間あるわけだ」


ちょ…ちょっともしもし秀一郎さん?


私の心の声に秀一郎は一回も反応しなかった。(当たり前だけど)


「よし。」


突然顔をあげて力強い目を私に向けた。


「よし、特訓しよう!!」


「はっ?」


何を言い出すのかと思った。


「いやいや、部活あるんでしょ?」


「ん。ああ、大丈夫だよ?割と休みあるし。」


なんてことだ。ってかそんなに休みあったっけ?


「でも、きっと練習で疲れるだろうからいいよ?」


私はさりげなくやめてくれないかなという期待を持って言った。


しかし、次の瞬間その期待は裏切られる。


「いや、俺水泳好きだから」


そうでした、忘れてました。


この人これ趣味でした。


「じゃあ明日早速行こうか。」


無駄に爽やかな笑みをして言った。


ああ、拒否権はないのね。




次の日から私の特訓が始まり 私は少ーしだけ泳げるようになった。


先生がすっごく驚いてたな。



2人の時間が増えてうれしかったのは誰にも秘密です。