「りょー」
「あ?ンだよ、そんな気だるい声出して」
「あたしのこと好き?」


青い空にチーズサンドの欠片が綺麗に舞った。亮は顔を歪ませて変な咳を何回か繰り返した。チーズサンドが喉にでも詰まったのだろうか。彼の反応はいつ見ても面白い。「大丈夫?」と彼の背中をさすってやると、咳が止まりゆっくりと顔を上げた。


「・・・いきなり何言い出すんだよ」
「いきなりじゃないよ。今まで黙ってただけ」


そりゃあ告白したのはあたしの方だから好き、って言って欲しいなんて我儘かもしれないけれど。名前を呼んでくれるだけでも嬉しいけれど。それでも心は求めてしまうのです。気まずい沈黙の中で最初に口を開いたのは亮だった。


「俺、から告白された時すっげえ嬉しかった。付き合うのOKしたらに俺の気持ち伝わると思った。けど、勘違いだったみたいだな」


笑顔の彼はもちろんかっこいいけれど(なんか輝いて見えるんだ)、真剣な顔の彼もかっこいいなあなんて思った。彼は白馬に乗った王子様、っていう柄じゃないけれどあたしにとっては世界でただ1人の王子様だ。喜ぶも悲しむも貴方次第。そんな恋愛も素敵だと思う。

 

「好き、だ」


真っ赤に染まった彼を見る。チャイムが鳴るまであと5分。お返しにありったけの愛を貴方に囁きましょう。



このときが出来るだけ長く続けばいい

(まるで春のように暖かい冬の午後のことでした)



080225
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