「お疲れ〜〜、周助。」
部活が終わり、凪は待ち合わせ場所である正門前に現れた彼氏、不二に向かって大きく手を振った。
「ごめんね、遅くなった??」
「大丈夫、私も来たばっかりだから。」
・・・・正確には凪は此処へ10分前に来ていた。大切な人が遅くなろうが出来るだけ気にかけないようにとの凪の配慮でもある。
そんなことを微塵にも感じさせない凪はえへへと笑うと不二の腕を取り歩き出した。





「そういえばさ、フルートって綺麗な音がするんだね。・・・今日もソロの練習してたんでしょ??」
テニスコートまで聞こえてきたよ、と不二は凪の肩に手を置きクスリと笑う。

「もしかして聞いてた・・??」
「勿論。・・・桃との練習試合、おかげさまで集中できなかったよ。」









「・・そうだよね。あんな汚い音じゃ不快になるよね・・・」
ハッとすると凪はフルートが入ったケースをぎゅっと抱きしめしゅんとなる。
「違うよ。」
「え・・???」

「本当に綺麗だった。聞き惚れるくらいね。」
不二は目を瞬かせ、ごめんねと苦笑する。

「本当・・・?」
凪は涙目になりがちな瞳で不二を見た。凪は不二より背が小さい。不二を見るとき必然的に上目遣いになってしまう。


「凪・・ちょっとごめん。」
「え・・ひゃぁ・・」
不二は凪をそっと抱き寄せ、凪の目尻についた涙をそっと舐め取る。

「ふふ・・凪の涙。しょっぱい。」
「あ・・当たり前じゃん!!!!」
凪は不二の腕の中でジタバタともがくが、簡単に押さえられてしまう。

「ふ〜ん。・・・抵抗するんだ・・・」
不二の顔からすっと笑みが消え、無理矢理顔を動かし・・・

唇を重ねた。とたんに凪は意識を持っていかれそうになる。
「ん・・・ふぅっ・・」
「凪。可愛すぎ。・・・・その上目遣いも、拗ねたカオも。」
はぁとため息をつくと不二は覆いかぶさるようにして凪を抱きしめる。
慌てた凪は一言。

「ちょ・・・ここ電車の中。」












なんやかんやで凪は自宅までたどり着く。
「ホントいい加減にしてよね。」
「分かってるって・・。じゃ、明日ね。」
「うん、楽しみにしてるから。」
凪はにっこり笑うと家のドアを開けた。




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次の日。
「ん・・・ふぁ。」
凪は目を覚ますと隣に置いていた携帯のディスプレイを見た。・・時刻は9時30分。
「あと1時間か・・・・」
呟き、ふと胸元に重く柔らかい感触。
「柔らか・・・え・・・・・・?????」
不審に思った凪は布団をぺいっとはいだ。そこには、


「しゅ・・周助・・・???」

凪の胸元に腕を回し、すぅと穏やかな寝息を立てていたのは凪の最愛の彼氏、不二周助だった。


「ん・・・あ、凪。起きた???」

「うん。起き・・・じゃなくて。何で周助がここにいるの???」
凪は冷静に、本来ならありえないはずの状況に対して的確な突っ込みをいれる。

「20分くらい前にね、凪のお母さんから電話があって。寝起きドッキリなんてどうかしら??って言われたから。」
「じゃぁ何で一緒になって寝てんのよ。」
「だって寝てる凪を起こすの勿体無かったんだもん。」
「何それ。」
「可愛い悪戯って事で。」
「・・・・・・・・・・・・・・そう・・・・」




不二の笑顔に流されながらも凪は
「ところでさぁ・・・その手は何をしてるのかなぁ????」
とジト目で不二を睨んだ。
「何って・・・”可愛い悪戯”???」
「何故疑問系??」
ていうか着替えたいから早く降りてくれと凪は手を離そうとする。
「出掛けるんでしょ???」
「いや??・・凪の部屋でデート(笑)」
「何が(笑)じゃぁぁぁぁ!!!!!自分で着替えるからとっとと降りてくれ!!」
胸元を弄る手から逃れると凪は叫んだ。
「なんだ、自分で着替えるの??そう言ってくれれば僕だって・・・」
「周助はその猶予を何時私にくれた??」
凪は肩で息をしながら不二を部屋の外へと追いやる。そして着替えようとハンガーにかけておいた服をとろうとしたとき、
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ドアにそっともたれかかり
「”可愛い悪戯”ね。・・・・・やっぱそれいいかもしれないわ。」
と呟いた。


「やっぱ僕が着替えさせるの??」
「そういうわけではありませ〜〜ん。」
部屋に入ろうとした不二を押し戻し、改めてハンガーにかかかっていた服に着替える。

「襲いた「さぁ行こっか。今日は美術館に行くんでしょ???」

その後凪と不二はラブラブにデートを楽しんだとさ。




可愛い悪戯
・・君にだけの愛の呟き














silent star様。参加させていただき本当にありがとうございました!!
何かお題に沿ってないような気がします。(じゃぁ書き直せ!!)
ギャグチックに書きたかったんですけど・・・ギャグではないですね。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
感謝。

080719  新藤一改め白咲霊士