――自分の赤い糸の相手かどうか知る方法――


                ――そんなジンクスあなたは信じますか?――








 「つっ・・・」

 放課後の教室。
 私と白石の二人は今日日直で、その日最後の仕事として先生に言いつけられた
 プリント整理をしていた。
 会話が弾んでいた訳ではないが、そこそこに会話が続いていたときだった。

 「大丈夫か?・・・」

 紙で左手の小指を切ってしまった。

 「平気平気。大した事じゃないから」
 「でも、紙で指とか切るの、地味に痛いやん」

 ほら、血ィ出とる、と指を指される。
 制服のポケットからティッシュを取り、小指を包んで押さえる。
 今日に限って判創膏を持っていない。

 「にしても器用やなー、自分。小指なんてそうそう切らないで」

 はい、と白石が判創膏をくれた。
 お礼を言ってそれを受け取る。

 「本当にね。私もそう思う。・・・そう言えば、友達に聞いた話なんだけど、」

 判創膏を貼ろうとするが、中々上手くいかない。

 「手ぇ出しや。貼っちゃるから・・・」
 「あ、ごめん」

 白石は器用にシールを剥がしていく。

 「で?聞いた話って?」
 「うん、自分の赤い糸の相手を知る方法なんだけど、まず自分の小指にかすり傷
 をつけて血を流して、その傷が消えるまでに相手の小指に傷が出来たら、その人
 が運命の人、なんだって」

 やる人いないだろうけど、と話し終わった時には、きれいに判創膏が貼らさって
 いた。

 「出来たで」
 「うん、ありがとう。上手だね、流石白石」

 手を顔の前にかざして判創膏の巻かれた指を見る。
 すると、白石が自分の筆箱からカッターを取り出した。

 「・・・何、してんの?」

 そのままカチカチと刃を出して、自分の左手小指に持っていった。
 次の瞬間には、白石の小指から血が流れていた。

 白石は、驚いて何も言えず口を開けたままの私に向かって、ニッコリと笑って
 言った。

 「これで俺ら運命の人同士やな」

 顔が赤くなっていくのがわかった。
 な?、と言って、目の前で笑っている人がどうしようもなく愛しくなってき
 て仕方がなかった。

 この人が運命の人ならいいなぁ、とぼんやりと思ってしまった。

 「なぁ。好きやで、

 こくん、と一つ頷いた。


 ・・・わたしもあなたが好きなんです。

               END


     **あとがき**

 まずは、参加させてくださった、『silent star』の跡部未菜様、ありがとうございます。
 こんな物ですがどうぞお納めください。
 そしてお読みくださった皆様にも感謝です。

 白石君はこの後、ヒロインちゃんに判創膏を貼ってもらってたらいいなぁ、と思います。
 そしてこのジンクスは本当かどうかわかりませんので、やらない方がいいと思います。
 痛いだろうし。もちろん、碓氷はやってません(笑)。

 それではまだまだ話したい事はありますが、それは別の機会にさせていただいて、
 今回はここまでです。

 ありがとうございました。

2008/03/01