…どうしよう。眠れない。

授業中に寝まくってしまったためか、珍しく眠れない。

時計を見たら、もう夜中の2時。

いつもだったら熟睡してる時間なのに。





眠れない夜に





うーん。暇だなぁ。

寝静まった部屋は静かで、何だかやたら寂しい。

テレビを見る気にもなれなくて、ベッドの上でごろごろしながら携帯を見つめた。

誰かかまってくれないかなぁ。



メモリを上から順番に見ながらメールの送信相手を探す。

ふと目に留まったのは「向日岳人」。

同じクラスで後ろの席のテニス部員。

席が近くなってから仲良くなった。

確か、朝練があっても夜中までゲームしてるって言ってたっけ。

もしかしたら、まだ起きてるかも。



さっそくメールを作成する。

短い文章を打って、えいっと送信。

早く返事来ないかなー。

さっきの寂しさはどこへやら。

わくわくしながら返信を待つ。



予想以上に早く携帯が鳴った。

どうやらメールを飛び越えて電話がかかってきてしまったみたい。

ニヤける顔を抑えるため、一度大きく深呼吸した。



「もしもーし。」

『もしもし!どうしたんだよ、いきなり!』

「え?別にー。眠れなくって暇だったんだもん。」

慌てた様子の岳人が面白くって、自然と顔は綻んだ。

『暇だったからって、オマエなぁ…。』

「いつメールしたって私の自由でしょー?」

平然を装う私。

岳人は電話の向こうで「うー」とか「あーもー!」とか唸っている。

『そうだけど…突然すぎるんだよ!俺の眠気までぶっ飛んだじゃねーか!』

「で、お返事は?」

『…俺もが好きだよ。』



これから眠れない夜はアナタにメールを送りましょう。

たった一言。

『大好き。』